ハワイの神話 – ペレ|火山の女神の物語
はじめに|火山とともに生きるハワイの女神ペレ
ハワイ神話に登場するペレ(Pele)は、火山を司る女神として知られています。
彼女は単なる「破壊の神」ではなく、大地を生み出し、命の循環をもたらす存在として、今もハワイの人々に敬われています。
特にハワイ島のキラウエア火山は、ペレが住まう場所とされ、
噴火や溶岩の流れは「ペレの意志の現れ」と考えられてきました。
この記事では、ペレの神話とともに、
彼女と深く結びついたオヒア・レフアの伝説、そして現代に残る信仰の形までをわかりやすく解説します。
ペレとはどんな女神?|創造と破壊を司る存在
ペレは、ハワイ神話において火・溶岩・火山を司る女神です。
その力は非常に強大で、怒れば大地を焼き尽くし、静まれば新しい土地を生み出します。
- キラウエア火山の主(ぬし)とされる神聖な存在
- 溶岩によって新しい大地を創造する力を持つ
- 情熱的で嫉妬深く、感情豊かな性格
ペレの物語は、ハワイの火山活動と密接に結びついており、
自然の力をどう受け入れ、共に生きるかという教えを含んでいます。
ペレの起源|海の女神との争いとハワイへの旅
伝説によると、ペレはもともとタヒチ(またはポリネシアの島々)にいた火の女神でした。
しかし、姉である海の女神ナマカ(Nāmaka)との激しい争いに敗れ、
海を越えてハワイへとたどり着いたとされています。
ペレの家族関係
- 父:カネ・ミロハイ(Kāne Milohai)― 天の神
- 母:ハウメア(Haumea)― 大地の女神
- 姉:ナマカ(Nāmaka)― 海の女神
- 妹:ヒイアカ(Hiʻiaka)― フラと森の女神
ハワイにたどり着いたペレは、キラウエア火山を住処とし、
噴火によって島を広げながら生きる存在となりました。
悲恋の神話|ペレ・ヒイアカ・ロヒアウの物語
ペレの神話の中でも、特に有名なのが
妹ヒイアカと酋長ロヒアウをめぐる悲しい物語です。
ペレは、カウアイ島の美しい酋長ロヒアウに恋をします。
しかし距離が遠かったため、妹ヒイアカに彼を迎えに行くよう命じました。
- ヒイアカは長い旅を経てロヒアウのもとへ向かう
- 旅の途中で二人は心を通わせてしまう
- それを知ったペレは嫉妬し、怒りで火山を噴火させる
ロヒアウは溶岩によって命を落とし、
その悲しみの中で神々は彼をオヒアの木に、
ヒイアカをレフアの花へと変えたと伝えられています。
オヒア・レフアの伝説|花に込められた永遠の愛
オヒア・レフア(ʻŌhiʻa Lehua)は、
ハワイ島の火山地帯に自生する赤い花を咲かせる植物です。
- オヒアの木:ロヒアウの魂
- レフアの花:ヒイアカの魂
ハワイには「レフアの花を摘むと雨が降る」という言い伝えがあります。
これは、二人を引き離すことで、
ヒイアカの悲しみが雨となって降ると考えられているためです。
今でもハワイの人々は、オヒア・レフアをむやみに摘まず、
自然のままに残すことを大切にしています。
現代に生きるペレ信仰|火山と共に暮らすという考え方
ハワイでは現在でも、火山の噴火はペレの意志と捉えられることがあります。
- 溶岩が流れる=新しい土地が生まれる
- 噴火が激しい=ペレの感情が荒れている
- 火山が静まる=ペレが落ち着いている
また、「ペレの石を持ち帰ると災いが起こる」という話も有名です。
これは迷信というより、
自然を敬い、奪わないための教えとして語り継がれています。
まとめ|ペレの神話が教えてくれること
ペレの神話は、単なる昔話ではありません。
- 自然は恐れるものではなく、敬う存在であること
- 破壊の中にも、必ず再生があること
- 土地・花・火山すべてに魂が宿るという考え方
ハワイを訪れる際には、
キラウエア火山やオヒア・レフアの花を目にしながら、
ペレとともに生きてきたハワイの人々の感覚に、
そっと思いを馳せてみてください。