男性フラダンサーが増えている?カネフラに見るジェンダーの多様性
「フラダンス」と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべますか?
おそらく、多くの人が花のレイを身につけた女性の踊りを思い浮かべるでしょう。しかし近年、そのイメージに静かな変化が訪れています。
フラには、古来より男性の踊り手も存在しており、彼らの踊りは「カネフラ(Kāne Hula)」と呼ばれます。この記事では、カネフラの魅力と、そこから見えるハワイ文化におけるジェンダーの多様性について紐解いていきます。
カネフラとは?
ハワイ語で「Kāne(カネ)」は「男性」を意味し、「カネフラ」とは男性によるフラダンスを指します。
実は、古代ハワイにおいてフラは男性の儀式的な舞踊として始まりました。彼らは神殿で祈りを捧げる際や、王の戴冠式など重要な儀式で踊りを披露し、神々とのつながりを担っていたのです。
その後、キリスト教の伝来により一時的にフラ文化が抑圧されましたが、19世紀後半から再び広まり、今日に至るまで男性も女性も踊る芸術として発展してきました。
なぜ今、男性フラダンサーが注目されているのか?
現代のハワイや日本においても、カネフラの存在感は年々高まっています。その背景には以下のような理由があります:
- 文化的な見直し:伝統文化への回帰と再評価の中で、カネフラが注目されている
- メディアの影響:男性フラのパフォーマンスがSNSや映像作品で取り上げられ、認知が広がった
- ダイバーシティの浸透:ジェンダーの枠を超えて踊りを楽しむ時代へ
特にハワイの大規模なフラコンペティション「メリーモナーク・フェスティバル」では、カネフラ部門も非常に人気が高く、力強さとしなやかさを併せ持つその表現は観客を魅了しています。
カネフラの魅力と特徴
カネフラは、女性のフラと比べて以下のような違いがあります:
- ダイナミックな動き:ジャンプや足踏みなどを含む力強いステップ
- 戦士的な表現:身体全体を使い、勇ましさやリーダーシップを表す
- リズム感の強調:太鼓(パフ)やイプヘケとの一体感
その一方で、感情を細やかに表現するフラの本質はカネフラにも共通しており、男性であっても繊細な心情を伝える踊りを行う点が、現代の観客にも強く響いています。
ジェンダーの枠を超えるフラ
近年、LGBTQ+を含む多様な背景を持つ人々がフラを学ぶようになり、性別に関係なく踊りに取り組むことが自然なこととして受け入れられつつあります。
フラはもともと「自然とつながる」「心を伝える」ことが根幹にあり、誰が踊るかよりも、どう踊るかが大切だとされます。
実際に日本のフラ教室でも、男性の受講者や、パートナーや家族と一緒に学ぶケースが増えており、「踊りたいと思ったときが、はじめ時」という言葉通り、年齢・性別・背景を問わず扉は開かれています。
まとめ|カネフラは“今”を映す鏡
カネフラは、フラのルーツに立ち返るだけでなく、現代社会の多様性や包摂性を体現する表現でもあります。
男性も女性も、誰もが自分らしく表現できるこの踊りは、まさに「アロハスピリット」の具現化。カネフラを通して、多様な価値観が共存するハワイ文化の奥深さを、今一度感じてみてはいかがでしょうか。