フラダンス楽器 イプ|その歴史と使い方
フラダンスに欠かせない楽器イプ|歴史と使い方を学ぶ
フラダンスは、その優雅な動きと豊かな表現力で知られるハワイの伝統的なダンスですが、そのダンスを支える重要な要素の一つが「イプ」という楽器です。イプは、フラダンスのリズムを刻み、ダンサーの動きを引き立てる役割を果たします。本記事では、イプの歴史と使い方について詳しく学び、フラダンスにおけるその重要性を理解しましょう。
イプとは?
イプは、ハワイに古くから伝わる打楽器で、主にひょうたん(グルメロ)を材料に作られています。イプは、フラダンスの伴奏に欠かせない楽器であり、その独特の音色がフラのリズムを生み出します。
イプには大きく分けて2種類あります:
- イプ・ヘケ: 大きなひょうたんの底を切り取り、中を空洞にしたもので、単体で使われます。音が深く、響きが豊かで、フラダンスの基礎リズムを支える楽器です。
- イプ・ヘケ・オレ: 二つのひょうたんを上下に組み合わせたもので、音の高さが異なる二つの音を出すことができます。より複雑なリズムを生み出すことができ、特に儀式的なフラで使われることが多いです。
イプの歴史
ハワイ文化におけるイプの起源
イプは、古代ハワイアンによって作られた楽器で、フラダンスと密接に結びついています。ひょうたんは、ハワイでは「イプ」と呼ばれ、食料や水を保存する容器としても使用されていましたが、その硬さと共鳴性から、楽器としても利用されるようになりました。イプは、ハワイの神話や宗教儀式においても重要な役割を果たし、ハワイ文化の一部として深く根付いています。
イプとフラダンスの関係
フラダンスは、もともと神々への捧げ物として踊られており、イプの音はその神聖な儀式を伴うリズムを提供していました。イプは、フラダンサーが自然や神々との繋がりを表現するための手段として重要であり、イプの音がダンサーの動きに命を吹き込む役割を果たしています。
イプの使い方
演奏の基本技術
イプを演奏する際の基本的な技術は、以下の通りです:
- ポハ(Pōhā): イプの底を床や体に軽く叩くことで、低い音を出します。これにより、リズムの基礎が作られます。
- パー(Pā): イプの側面を手のひらや指で叩くことで、明るく短い音を出します。この音は、リズムにアクセントを加えます。
- カ(Ka): イプの口を手で軽く叩いて、柔らかい音を出します。カはリズムに繊細な変化を加えます。
イプを使ったフラダンスのリズム
イプを使ったリズムは、フラダンスのスタイルや曲に応じてさまざまに変化します。フラダンサーとイプ奏者(カホロ)は、互いにリズムと動きを調和させ、物語を伝えることを目的としています。イプのリズムがダンサーのステップや動きにシンクロすることで、フラダンス全体が一体となり、観客に深い感動を与えます。
イプの作り方と手入れ
イプの作り方
イプは、乾燥したひょうたんを使って作られます。以下が基本的な作り方です:
- ひょうたんの選定: 形が整い、硬く乾燥したひょうたんを選びます。イプ・ヘケの場合、二つのひょうたんを組み合わせます。
- 内部の除去: ひょうたんの中身を完全に取り除き、内側を滑らかにします。これにより、音がクリアに響くようになります。
- 表面の加工: 外側の表面を磨き、装飾を施すこともあります。伝統的には、火で炙ることで模様をつけたり、天然の染料で色を加えたりします。
- 乾燥と調整: 完全に乾燥させた後、音の響きを確認し、必要に応じて形状を微調整します。
イプの手入れ方法
イプを長く使い続けるためには、適切な手入れが必要です:
- 保管: イプは乾燥した涼しい場所に保管し、湿気を避けることが大切です。湿度が高い場所では、ひょうたんが変形したりカビが生える可能性があります。
- 掃除: 演奏後は、乾いた布で軽く拭いて、ほこりや汗を取り除きます。必要に応じて、表面に天然のオイルを少量塗布して、ひょうたんを保護します。
- 修理: ひび割れや破損が発生した場合は、専門家に修理を依頼することが望ましいです。自分で修理する際は、ひょうたんに合った接着剤や補強材を使用します。
まとめ
イプは、フラダンスに欠かせない楽器であり、その歴史と使い方を理解することで、フラダンス全体の魅力をより深く味わうことができます。古代ハワイから現代に至るまで、イプはフラダンスのリズムを支え、ダンサーの動きを引き立てる重要な役割を果たしています。イプの音色と共に、フラダンスの物語を感じ取り、その深い文化的意義を理解することで、フラダンスが持つ豊かな世界にさらに引き込まれるでしょう。