フラの女神ラカに捧げる歌:神聖なフラソングの魅力とは?
フラには女神がいる――その名は「ラカ」
ハワイの伝統舞踊フラ(Hula)には、踊りの動き一つひとつに祈りと意味が込められています。
そんなフラの世界を守り、導いているのが、**フラの女神「ラカ(Laka)」**です。
ラカは、ただの神話の登場人物ではありません。
ハワイのクムフラ(フラの指導者)たちにとっては、**今もなお“生きている存在”**として、日々の稽古や儀式の中で敬われています。
そして、ラカに捧げられるフラソング(チャントやメレ)は、
神聖なものとして特別な意味を持つのです。
ラカってどんな女神?
ラカは、フラだけでなく、自然の豊かさや生命の循環、美しさを象徴する存在です。
森の精霊と通じ、植物を育む力を持つ
レフアの花やマイレの葉など、フラに使われる植物を司る
優雅で穏やかながら、霊的にとても強い存在
フラソングの中でラカは、インスピレーションや癒しの源として描かれることも多く、
踊る人たちは彼女に感謝を捧げるように踊ります。
フラソングとはただの歌じゃない
フラには「メレ(mele)」と呼ばれる詠唱(歌詞)があり、
その内容は歴史、神話、自然、恋愛、祈りなど多岐にわたります。
特にラカに捧げるメレは、以下のような特徴を持っています:
フラの起源や聖なる場所を讃える
森の精霊や女神への呼びかけが多い
しばしば**マイレ(maile)やレフア(lehua)**といった植物の名前が登場
これらの歌は、踊ることで「言霊(ことだま)」となり、空間そのものを浄化し、神聖な場に変えてしまうと信じられています。
実際のフラソングの例:Eō Laka
とても有名なチャントのひとつが「Eō Laka(エオー・ラカ)」。
これは、ラカに向かって**「ここにおいでください」「どうか私たちの踊りを見てください」**と祈るような歌です。
一部意訳:
ラカよ、森からやってきてください
この踊りにマナを与えてください
私たちはあなたのために心を込めて踊ります
このように、ラカに語りかけるメレは、詠うだけで神聖な儀式のようなもの。
ダンサーたちは、単なる振り付けではなく、ラカの存在を“招き入れる”という感覚で踊るのです。
フラソングは自然と一体になるための道
ラカに捧げるメレを通じて、フラダンサーは自然のリズムと一体化していきます。
風の音、海のうねり、雨のにおい、木々のざわめき――それらすべてがフラの一部。
ラカの象徴である植物を身にまとい、
彼女に捧げる歌を口ずさみながら踊るその瞬間、
自分自身も自然の一部となるような感覚を覚えるのです。
まとめ|ラカに捧げるフラは、心の奥に響く祈り
ラカに捧げるフラソングは、ただの音楽やパフォーマンスではありません。
それは、自然や神々とつながるための扉であり、自分の中の静かな感謝や祈りを形にする手段です。
美しい動きの背後にある、深い意味とスピリチュアルな背景を知ると、
フラを見る目も、きっと少し変わってくるはずです。
次にフラを観るとき、あるいは自分で踊るときは、
その歌が誰に向かって歌われているのか、
どんな想いが込められているのか――
ラカという存在に、ちょっとだけ思いを馳せてみてください。