観光地になる前のハワイ|ワイキキやマウイの知られざる昔の姿
リゾートの陰に隠れた“もうひとつのハワイ”
白い砂浜に高層ホテルが並ぶワイキキ、世界中から観光客が集まるマウイ島――。
けれど、ほんの100年前まで、そこには静かな海辺の村や聖なる土地が広がっていました。
この記事では、観光地となる以前のハワイの姿を、地元の言い伝えや歴史資料、古写真などからひもとき、忘れられつつある“本当のハワイ”を見つめていきます。
① ワイキキ|かつては王族のための水の楽園
現在のワイキキは、ホテルやショッピングモールが立ち並ぶ観光地ですが、元々は王族の別荘地であり、湿地帯と養魚池が広がる豊かな水の土地でした。
ワイキキとはハワイ語で「水が湧き出る場所」
タロイモ畑やロイ(湿地田)で人々が暮らしていた
王族のサーフィン文化が栄えた地でもある
「海と山から水が運ばれ、土地にマナ(精霊の力)が満ちていた」と伝えられています。
現在の華やかさの下には、自然と共生する静かな日常と神聖な場所としての記憶が残されています。
② マウイ島|神話とともに生きた人々の島
マウイ島といえば、ハレアカラ火山や美しいビーチが有名ですが、**もともとは神話と深く結びついた“精霊の島”**とされていました。
神マウイが太陽を捕まえた場所
ハナ地区は神聖な儀式やフラの起源地のひとつ
水の女神「ナマカオカハイ」と火の女神「ペレ」の伝説の舞台
マウイの自然景観は、**単なる風景ではなく“神々が息づく場所”**だったのです。
③ 観光化とともに消えていったもの
1950年代〜70年代、ハワイは本格的に観光地化され、
多くのビーチや村がリゾート用地に姿を変えていきました。
湿地が埋め立てられ、ホテル街へ
ローカルな住居や文化が失われていく
聖地(ヘイアウ)や古代の道が消失、あるいはアクセス困難に
「美しくなったけれど、何か大切なものが見えなくなった」と語る地元住民も少なくありません。
④ 今なお残る“本来のハワイ”を感じる場所
それでも、今でも少し足を伸ばせば、昔ながらのハワイの空気を感じられる場所があります。
ハナ(マウイ島):舗装されていない道が残り、自然と暮らす人々がいる
ヌウアヌ渓谷(オアフ島):古代の王族の居城跡や聖域が残る
カウアイ島のワイメア渓谷:自然信仰の残る地
観光とは少し離れたところに、本来のハワイの“鼓動”が今も生きているのです。
⑤ 観光地の裏にある「語られなかった物語」に耳を傾けて
現代の私たちがリゾートとして楽しむ場所は、かつて人々の祈りや暮らしが深く根づいていた場所でもあります。
「そこに何があったのか」
「なぜその土地が大切とされていたのか」
それを知ることは、観光をより深い体験にし、ハワイを本当の意味で尊重することにつながるはずです。
まとめ|“観光地になる前”のハワイに学ぶ、自然とのつながり
かつてのハワイは、自然と人、神話と日常が一体となった世界でした。
その静けさや敬意の心は、現代の私たちにも大切なヒントを与えてくれます。
次にハワイを訪れるときは、目に見えるものだけでなく、その土地の記憶や物語にも耳を傾けてみてください。