カメハメハ大王像の秘密:本当はハワイに戻るはずじゃなかった?
ハワイのシンボルともいえる存在、カメハメハ大王像。
オアフ島のダウンタウン、アリイオラニ・ハレの前に堂々と立ち、
多くの観光客が記念写真を撮るこの像ですが――実はその製作・設置の裏側に、驚くべきエピソードがあるのをご存じでしょうか?
そう、この像は最初からハワイに建てられる予定だったわけではなかったんです。
むしろ、「もう二度と戻ってこられないはずだった」という逸話すらあるんです。
今回は、**カメハメハ大王像の誕生秘話と、その“数奇な運命”**をじっくりご紹介します。
1. なぜ大王像は作られたのか?
カメハメハ大王像は、ハワイ王国の創設者である**カメハメハ一世(Kamehameha I)**をたたえるために作られました。
彼はハワイ諸島を初めて統一した偉大な王で、今もなお「ナ・アリイ(王たち)」の中でも特別な存在とされています。
1880年ごろ、ハワイ王国政府は王の生誕100周年記念の一環として像の建立を計画。
製作はイタリア・フィレンツェの彫刻家**トマス・グールド(Thomas Gould)**に依頼されました。
✔ 材料:ブロンズ
✔ 身長:約2.7メートル(台座を含めると5メートル以上)
✔ デザインは、西洋的な軍服にハワイのカパ(樹皮布)やマントをまとった姿
像の表情はどこか険しく、右手を掲げるポーズは**“平和を示し、国を守る”**という意味があるとされます。
2. 完成した像、まさかの“行方不明”に
1880年に完成したカメハメハ像は、
イタリアからハワイ島へ向けて船で輸送される途中――なんと沈没。
船はフォークランド諸島近海で火災を起こし、そのまま海の底へ。
このとき、像は完全に「失われた」とされてしまいます。
王国政府は落胆しながらも、同じ型を使って2体目の像を再制作することを決定。
これが、現在オアフ島のダウンタウンに建っている**通称「第2のカメハメハ像」**なのです。
3. 沈んだはずの像、まさかの“帰還”
しかし数か月後、信じられない報せが届きます。
沈没したはずの“第1の像”が海から引き揚げられたというのです。
像はほぼ無傷で、ブロンズの強さゆえに状態も良好。
ただし、オアフにはすでに2体目が設置されることが決まっており、
元の計画だった「ハワイ島に建てる」という案が再浮上します。
こうして“海から蘇ったカメハメハ像”は、カメハメハの出生地であるハワイ島・カパアウに建てられることになりました。
4. 現在、像は何体あるの?
実は現在、公式なカメハメハ像は4体あります。
番号 | 場所 | 特徴 |
---|---|---|
① | ハワイ島・カパアウ | “引き揚げられた”元祖像。王の故郷にある。 |
② | オアフ島・ホノルル | 政府中枢前に設置された2体目。観光名所。 |
③ | ワシントンD.C. | ハワイ州の代表像として、連邦議会内に展示。 |
④ | マウイ島・ラハイナ | カメハメハのマウイ攻略を記念して設置(※2023年の火災により損傷、現在は保存・修復中) |
それぞれの像には異なる意味と背景があり、
「同じ王を讃える像なのに、立っている場所にそれぞれの物語がある」ことが、ハワイらしくて面白いところです。
5. 像にまつわるちょっとした豆知識
カメハメハ・デー(6月11日)には、像にレイが何重にも掛けられるセレモニーが行われます。
特にホノルルの像は、首から足元までカラフルなレイで飾られ、地元住民と観光客に大人気。像のモデルはカメハメハ本人ではなく、当時の王族を参考にしたと言われています。
彫刻家のトマス・グールドはカメハメハを直接見たことがなかったため、描写は“理想化”されているそうです。
まとめ|海に沈んでも戻ってきた「王の象徴」
カメハメハ大王像は、ただのブロンズ像ではありません。
それは、ハワイ王国の誇り、歴史、そして奇跡の帰還を果たした象徴でもあります。
本来なら海に沈んだままだったはずの像が、巡り巡って王の故郷へ帰り、
そしてもう一体がホノルルで王国の中心を見守る――
まるで、カメハメハ大王自身が“王国の統一”を象徴するように、像もまた分かたれた島々に立ち続けている。
そんなふうに考えると、1枚の記念写真に込められた意味も、ちょっと違って見えてきませんか?