Nana i ke kumu|「根を見る」ハワイ語が教える“本質を見抜く力”
フラの世界に足を踏み入れたとき、私が最初に出会ったことわざのひとつが「Nana i ke kumu」でした。
この言葉の意味は、「根を見る」「本質を見つめる」。
華やかな衣装や美しい振りに目が行きがちなフラ。でも、表面の美しさだけでは伝わらない“深さ”がある──そんな教えが、この短いハワイ語には込められています。
なぜ「根」を見ることが大切なのか?
「Nana i ke kumu」は単なる観察のすすめではありません。
それは「目に見える現象の奥にある、理由や本質に目を向ける」姿勢を表しています。
たとえばフラの手の動き一つにも、海のうねりや風の流れ、あるいは神話の一節が表現されていることがあります。
「なぜこの動きなのか?」「どんな意味があるのか?」
そんな問いを持つことが、踊り手としての成長を加速させてくれるのです。
フラの中の「根」とは何か
初心者の頃は、動きや振付を覚えることで精一杯かもしれません。
でもあるとき気づきます──動きの“意味”を理解することで、踊りが変わるということに。
- 手が空を指すのは、天に祈る動作
- 足がリズムを刻むのは、大地とのつながり
- 表情は、物語の語り手としての感情の橋渡し
この“意味”こそが、フラにおける「根(kumu)」なのです。
人生にも応用できる「Nana i ke kumu」の考え方
この言葉の力は、フラの中だけにとどまりません。
たとえば人間関係──誰かの言葉に傷ついたとき、それを表面だけで判断せず「その人の背景」「状況」「想い」に目を向けてみる。
または、自分自身がうまくいかないとき、「なぜうまくいかないのか?」「本当に望んでいるのは何か?」を見つめ直す。
そんな“内側を探る力”こそ、ハワイ語の教えが私たちに与えてくれる知恵なのだと思います。
「根を見てから」踊るということ
もしあなたが今、フラの練習でつまずいていたり、自分の踊りに自信が持てないのだとしたら──
少しだけ、「Nana i ke kumu」を思い出してみてください。
見えていないものに気づくこと。
目立たないけれど支えてくれている“根”の存在に、敬意を払うこと。
それはきっと、踊りの技術だけでなく、あなた自身の内側にも変化をもたらしてくれるはずです。
最後に──フラの学びは“根”に戻る旅
ハワイの文化は、自然との共生と、目に見えないものへの敬意に満ちています。
フラもまた、見えない根っこ=kumuに支えられてこそ、花を咲かせるもの。
「Nana i ke kumu」──その一言が、私たちを本質へと導いてくれる合言葉になるかもしれません。
見えているものの奥を、やさしく覗き込むような視点。
それを持ち続ける限り、フラも人生も、きっとブレずに歩んでいけるはずです。