Hoʻomaikaʻi i nā mea liʻiliʻi|小さきものを祝う心|フラの中の“細やかな美”に気づく
ハワイ語には、日常のなかに深い智慧が込められたことわざが多くあります。そのひとつが「Hoʻomaikaʻi i nā mea liʻiliʻi(ホオマイカイ・イ・ナ・メア・リイリイ)」。
意味は「小さなものを祝う」──。
一見、見逃されがちな細やかなこと、誰もが気に留めないような“ささいなもの”にも感謝と喜びを込めるというハワイの精神を表しています。
この価値観は、フラを学ぶ私たちにも、とても大切な気づきを与えてくれます。
フラは「大きく踊る」だけじゃない
フラを始めたばかりの頃、多くの人が「大きく見せよう」「目立つように」と動作を意識します。
もちろん、しっかりと踊ることは大切。でも、それと同じくらい大事なのが、“細やかな表現”。
指先の角度、目線の流れ、ステップの静けさ……
そのどれもが、観る人の心をふとつかむような、小さな美しさを持っています。
「Hoʻomaikaʻi i nā mea liʻiliʻi」は、そうした“ささやかな美”を見逃さず、大切にする心を教えてくれる言葉なのです。
日常の中の「小さなもの」に気づく力
このことわざは、踊りだけでなく、日々の暮らしにも通じています。
- 一輪のプルメリアに、季節の移ろいを感じる
- 教室に入るときの「おはよう」に、心のやわらかさを見つける
- 子どもが踊るぎこちないフラの中に、まっすぐな気持ちを受け取る
それらはどれも、決して派手ではありません。
けれど、「小さなことに気づける心」こそが、人の深さを育てるのではないでしょうか。
レッスン中の“祝う”瞬間
あるレッスンの日。年配の生徒さんが初めて、曲の途中で笑顔を見せてくれたことがありました。
それはほんの数秒、手が揃っていたわけでも、完璧に踊れたわけでもありません。
でもその日、教室全体があたたかくなったような気がしました。
あのとき私の心に浮かんだ言葉が、「Hoʻomaikaʻi i nā mea liʻiliʻi」。
小さな一歩、小さな笑顔──それを「大切なものだ」と認め、祝福する気持ちを忘れずにいたいと思った瞬間でした。
“祝う”という行為が持つ力
「祝う」とは、大げさなパーティーやイベントだけを指すのではありません。
たとえば──
- 今日もフラを踊れたこと
- 新しい振付を覚えたこと
- 初めて声を出してチャンティングができたこと
そんな“小さなできごと”に、静かに心の中で「ありがとう」と言うことも、立派なお祝いなのです。
この視点を持つことで、自己肯定感や他者へのまなざしもやさしくなっていくのを実感できるでしょう。
フラを通じて「祝福の文化」を学ぶ
ハワイの文化には、自然・人・過去・未来……すべてに対して「ありがとう」を伝える精神があります。
それは、フラのひとつひとつの動作に込められていて、曲の意味を知るたびに、その奥深さに気づかされます。
Hoʻomaikaʻi i nā mea liʻiliʻi──小さなものを祝うこと。
それは、自分の中に「幸せを見つける力」を育てる言葉でもあるのです。
結びに──心のなかの「ささやかな宝物」を見つけよう
フラを通じて出会う人、学ぶ振付、感じる自然……
そのどれもが、気づかなければ通り過ぎてしまうほど小さな宝物かもしれません。
でも、「気づく力」と「祝う心」を持っていれば、その小さなものたちが、毎日の喜びに変わります。
今日もひとつ、「小さなこと」を見つけて、そっと微笑んでみてください。
その瞬間こそ、フラを踊る人が持つ“心の美しさ”が光る時です。